製品デザインと機能の関係性

いわゆる「プロダクトデザイン」といわれるデザインは、さまざまな制約を持ってデザインされます。使われることが大前提の製品たちは、その内外にさまざまな機能を実装しなければいけないのです。それらの機能を実現するためには、機構や設計の段階が最も重要です。デザインもその段階から深く関わることになります。スペックとデザインを両立させるためには、デザイン側と設計側の綿密な打ち合わせが絶対的に必要でしょう。製品のプロジェクトが始まる際に、さまざまなことが想定されます。どんな人にその製品を届けたいのか、どんな利用シーンで、どんな風に使って欲しいのか、またそれを実現するのか、ということです。それを実現するためのスペックであり、デザインであるわけです。ただそのデザインが作りたいから作る、ということは許されなくなります。そこに存在するのは商品を販売するための緻密なマーケティングと綿密な販売計画です。それはもちろんトレンドを加味したものになっていますし、トレンドに沿いながらも次の時代へコマを進めるための新しい取り組みも隠されているものです。そしてそれを裏打ちするための実製品の有用性が求められます。
製品を開発し始める際のコンセプトの段階で、ある程度のデザインのベクトルは決められているといってもいいでしょう。例えば「超小型の掃除機」と定義付けられた製品では、従来のものよりも小型にするしかありませんし、他社のものにも負けるわけにはいきません。コンセプトがそこにあるのであれば、それを実現するためのデザインが必要です。ですが、実は「デザイン」するだけであればいくらでも小さく出来るのです。問題は機構をどれだけコンパクトに出来るのかということであり、エンジニアリングの限界値とデザイン側の勝負になるのです。エンジニアが「そのサイズでは無理だ」と言う可能性もあります。プロダクトデザインにおいては、デザイナーとエンジニアの共同作業で製品のカタチが定まってくるのです。また、そのデザインによって実現される機能も中にはあるかもしれません。内部機構に自然な空気の通り道を作って空冷化を促したりする際は、製品の外枠に空気を取り込むスリットが必要です。そのスリットはデザイン的に重要なポイントであることは間違いがなく、また製品の訴求ポイントの一つとなるかもしれません。デザイナーがイニシアチブを握るデザインにおいてその商品の機能が定まったり、強化されたりすることも少なくはないのです。メカニックではないのに、製品の機能を左右する、ということになります。
プロダクトデザインは実際の製品を形作るものです。そのデザインで製品は具現化され、実際のユーザーの元に届くことになるのです。関わるさまざまな人の仕事を、1つのアイテムとしてまとめ上げる役目がプロダクトデザインです。そしてそのアイテムは店頭にならんだり、多くの人に長く使われたりするようになるのです。「モノ」を作る、何かを残すという行為の代表例がプロダクトデザインです。やりがいと共にエンジニアとの連携や市場に対する訴求力など、さまざまなポイントが責任として与えられる立場でもあります。

 
デザインから始まる新しいスタンダードTopに戻る